神秘の鉱脈

第一次ミスリルラッシュのときに、掘りつくされたいわれるツァボラ洞窟。
しかし、まだミスリル鉱脈があるらしい。祖父の遺言なので、ぜひたしかめたい。
頼む、だれか行ってきてくれ。
  鉱山経営者クルー

(依頼を引受けた後。パブで話しているマーシュとモンブラン。)
モンブラン マーシュ、次の仕事は何だクポ?
マーシュ ミスリル鉱脈探し。
(首を縦にふるモンブラン。)
モンブラン クポクポ〜。
ミスリル探しとは、また大きい仕事を選んだクポ〜。
マーシュ このぐらいハデなのがちょうどいいかと思って。
(ジャンプするモンブラン。)
モンブラン クポ。鉱脈が見つかれば、クランの知名度もぐっと上がるクポ〜。
(胸の前で両手を広げるマーシュ。)
マーシュ あ、ごめん。 そうじゃないんだ。
実は、ドネッドをひっかけようと思って。
モンブラン クポ〜?
(少し歩くマーシュ。止まり、振り返る。)
マーシュ 普通に「会いたい」って言ったところで、
たぶんドネッドは来てくれないだろうしね。
(マーシュを見るモンブラン。)
モンブラン 向こうから来るようにしむけたってことクポ?
(頷く。)
マーシュ ぼくがミスリルを探してるって知ったら、
あいつ、絶対に邪魔しに来るハズだから。
(二度頷くモンブラン。)
モンブラン そういえば、マテリア晶石も弟くんに壊されたクポ。
クポポ〜。 だから目立つ仕事を選んだクポ。
(頷くマーシュ。 モンブラン、歩く。マーシュの正面に来る。)
モンブラン マーシュは変わったクポ〜。
最初に会った頃より、ずいぶん頼もしくなったクポ。
マーシュ そうかな?
(頷くモンブラン。)
モンブラン クポ〜。 モグはそう思うクポ。
(少し首を動かし、別のところを見るようなしぐさをするマーシュ。)
マーシュ ここへ来たばかりの頃は、すごくあせってたんだ。
世界が戻らなかったらどうしようって。
(モンブランに向き直って肩をすくめる。)
マーシュ そりゃ、今だって不安だよ。
この先どうなるかなんて、ぜんぜんわからないもの。
でも、絶対に帰るんだって、その気持ちさえ変えなければ、
急がなくても、ゆっくりでいいって、そう思えるようになってきたんだ。
(頷くモンブラン。)
モンブラン あ、でもマーシュ。 弟くんとの仲直りは早い方がいいと思うクポ〜。
(笑うマーシュ。)
マーシュ あはは、そうだね。 よし、そろそろ出発しよう。
(パブを出るふたり。 暗転。)

(ツァボラ洞窟。あちこち調べ歩いているマーシュ。)
とまれ、このドロボウっ!
(奥からモーグリナイト、セージ、カラクリ士が出てくる。)
マーシュ ドロボウ!?何のこと!?
モーグリナイト おまえがミスリル鉱脈を横取りしようとしてるのはわかってるクポ!
マーシュ ぼくはただ、鉱脈があるかないかを確かめに来ただけだ!
セージ とぼけてもムダだ! こっちはちゃんと情報を買ったんだぞ。
マーシュ 情報・・・? そうか、これもドネッドがやったのか!
(足音。振り返るマーシュ。後ろからホワイトモンク、動物使い、青魔道士が登場。)
モーグリナイト あいつを捕まえるクポ!
(エンゲージ開始。)

(終了。)
マーシュ ドネッドはうまくひっかかってくれたみたいだ。
たぶん、近くに隠れてるハズ。
(暗転。)

(歩いているマーシュ。立ち止まり、辺りを見回す。)
マーシュ ドネッド、出てこいよ。 いるんだろ?
(ドネッドが現れる。対峙するドネッドとマーシュ。)
ドネッド はじめから、ボクを呼び出すつもりだったんだね。
ズルいな、お兄ちゃんは。
(頷くマーシュ。)
ドネッド どうせ、元の世界に帰ろうって言うんでしょ。
ボクはイヤだからね。 帰るもんか!
ボクはお兄ちゃんとはちがう。
お兄ちゃんは何でも持ってるけど、ボクはそうじゃない。
(顔をそらすドネッド。)
マーシュ ドネッド、それはまちがいだよ。
(マーシュを見、両腕を広げるドネッド。)
ドネッド 何がちがうの!?
お兄ちゃんは走れるよね?入院しなくていいよね?
友達もいるし、雪の日は外で雪合戦したり。 何でもできるじゃないか!
ボクはここに来て、やっとできるようになったんだ。
(顔を伏せる。)(喋りながら顔を上げる。)
ドネッド 友達だってクランにいっぱいいる。
今はまだムリだけど、そのうちエンゲージだってやるんだから。
新しい、楽しいことばかりだよ。
それをとりあげるなんて許すもんか!!
(両腕を広げるマーシュ。)
マーシュ 世界を戻すことがとりあげることになるなんてぼくは思わないよ。
ドネッド お兄ちゃんは全部持ってるからそんなことが言えるんだよ!
マーシュ ぼくは全部なんて持ってない。
(両手を広げるドネッド。)
ドネッド 何を!? 何を持ってないっていうのさ!?
もう充分じゃんかっ!
これ以上、お兄ちゃんは何が欲しいって言うの!?
(マーシュ、両腕を広げて叫ぶ。)
マーシュ ぼくは「欲しい」なんて言ったことないよっ!!
「欲しい」と「イヤだ」はおまえにあげたからっ!!
(手を元に戻す。沈黙。)
マーシュ ・・・おまえがいつもそうやって甘えるから、ぼくは言えなかった。
ガマンしなきゃいけないっていつも思ってた。
ドネッド ・・・・・・。
マーシュ だってそうだろ?
おまえは病気がちで、ぼくはそうじゃない。
ママは看病で忙しいのに、ぼくがワガママを言ったらママ、大変だよ。
(沈黙。)
マーシュ でも・・・ママがおまえにかかりきりなのがうらやましかった。
パパとはなれて田舎町に来てからは特に・・・。
家ではたいがいひとりだから。
ドネッド お兄ちゃん・・・・・・。
(俯くマーシュ。)
マーシュ ぼくだって、何でも持ってるわけじゃないんだ。
(顔を上げる。)
マーシュ ここに来たとき、おまえ、すっごくうれしかったんだろ?
わかるよ。この世界はいいところだし、何でもできるもんな。
(顔を逸らすドネッド。)
ドネッド わかってるよ。ボクだって。
ここがホンモノじゃないことくらい。
でも・・・でもさ・・・・・・
(うつむく。)
ドネッド 楽しかったんだもん。 走れたんだもん。
車椅子には戻りたくなかったんだもん・・・。
マーシュ さっき言ったろ?
世界を戻すことで走れる体がとりあげられるワケじゃないって。
(ドネッドに近寄り、話しかける。)
マーシュ 大丈夫だよ。
元の世界でだって、きっと走れるようになる。
ぼくも、できるだけ手伝うから・・・。
(ドネッド、顔を上げる。マーシュに抱きつく。)
ドネッド うわぁぁん・・・・・・っ。 お兄ちゃん、ごめんなさい。
(暗転。)

(クエストクリア)