(ミュスカデのパブにいるマーシュ) | |
マーシュ | ・・・ぼくは今まで3つのクリスタルを壊した。 クリスタルを守る神獣は、種族とついになっているから 少なくともクリスタルはあと2つある。 あと2つ・・・ 急がなくちゃダメなのに手がかりがないよ・・・! |
(エゼルが入ってくる) | |
エゼル | よぉ、有名人。 |
マーシュ | エゼルさん! |
エゼル | なんだかエライことになってるみたいだな。 宮廷から賞金をかけられたんだって? |
マーシュ | ミュート・・・ミュート王子にとって、ぼくは邪魔者だから。 |
エゼル | ふぅん、なんだかよくわかんねぇけど。 |
マーシュ | エゼルさんは?あいかわらず? |
エゼル | おかげさまでね。けど、今は少しラクだぜ。 ジャッジやら賞金かせぎやらみんなお前の方に目が向いてるからな。 |
マーシュ | ・・・。 |
エゼル | ところでお前、外の様子を見たか?まるでお祭りさわぎだぜ。 |
マーシュ | え?どういう意味ですか? |
エゼル | ウワサで聞いたんだが、ジャッジたちが一斉にクランを調査するらしい。 |
マーシュ | クランを? |
マーシュ | エゼルさんは、ぼくを・・・ぼくを悪人だとかひきわたそうとか思わないんですか? |
エゼル | これっぽっちも思わないね。 だって追いかけてるのは宮廷の連中だろ? ならお前はまっとうなことをやってるんだろうよ。 オレと同じでね。 |
マーシュ | エゼルさん・・・ |
エゼル | そういうヤツは捕まったりしちゃダメだぜ。 とにかく気をつけろよ。 |
マーシュ | はい。ありがとう、エゼルさん。 |
エゼル | じゃあな。また今度、店で会おう。 |
エゼル、去る。 | |
場面切り替わる。ミュスカデ。ジャッジ・騎士による一斉調査が行われている。 ジャッジに捕らえられているモーグリ族の動物使いがいる。 |
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動物使い | モグは関係ないクポ! |
ジャッジ | どうしてそう言える? |
動物使い | 賞金をかけられているのは人間族の少年クポ? モグはモーグリだクポ! |
ジャッジ | その人間族の少年が、モーグリと歩いている姿を見た者がいる。 |
動物使い | クポ! それだけの理由でプリズン送りクポ!? |
ジャッジ | 理由などそれで充分だ。 さぁ、行くんだ! |
(少し離れたところから見ているマーシュとモンブラン。 | |
マーシュ | ひどいよ!まるで話をきいていない。 これじゃ、ただの弱いものいじめじゃないか! |
モンブラン | なるふりかまわぬとはこのことだクポ。 |
マーシュ | そんなの・・・ぼく、だまっていられないよ! |
(マーシュ、ジャッジの方へ飛び出していく) | |
モンブラン | マーシュ!! |
(後を追うモンブラン) | |
マーシュ | ぼくはここだ! ミュート王子の探すマーシュはここにいるぞ! |
(モーグリ、逃げる。ジャッジ、マーシュの方へ向き直る) | |
ジャッジ | 本当にお前がそうなのか? |
マーシュ | そうだ! 今すぐ関係のない人たちを解放してほしい! |
ジャッジ | そうはいかない。 おまえが本物だという証拠はないからな! |
(敵軍登場。) | |
ジャッジ | あの少年を捕らえよ! |
マーシュ | ジャッジマスターならぼくのことを知ってる。 ジャッジマスターを呼んでもらえれば・・・! |
(エンゲージ開始) | |
(終了後、マーシュがジャッジに言う) |
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マーシュ | ジャッジマスターを呼んでほしい! 彼ならぼくのことをしっているハズだ! |
(・・・チョコボに乗ったシドがやってくる。守護騎士に囲まれているマーシュを見る) |
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ジャッジ | この少年です。 |
シド | たしかに・・・この少年は見覚えがある。エゼル・バルビエと一緒にいた少年だ。 |
ジャッジ | 例の少年でしょうか? |
シド | なんとも言えん。あのとき、名前までは聞かなかったからな。 よし、仲間とともに少年を連行しろ!」 |
マーシュ | 待って!クランのみんなは関係ない! |
シド | きみをかくまった時点で無関係とは言えまい。 |
マーシュ | そんな! |
シド | 仲間や、容疑をかけられて捕まった多くの者たちがどうなるか・・・。 すべてはプリズンにおけるきみの返答次第だ。 |
(うつむくマーシュ) | |
シド | プリズンへ向かうぞ! |
(山岳都市スプロム。プリズンの中だろうか、石造りの部屋。 シドとマーシュがいる。そこへバブズが入ってくる。) |
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マーシュ | バブズ! |
(バブズ、マーシュをちらりと見て、シドに向かってうなずく。) | |
バブズ | まちがいありません。こいつです。 |
(シド、うなずく) | |
シド | そうか。 |
(マーシュ、シドの方を向いて、) | |
マーシュ | 関係のない人たちを釈放してください! ミュートはぼくをさがしてるんでしょう?」 |
バブズ | 王子と言え!この無礼者めっ!! |
シド | 我々は、君というよりも「クリスタルをこわす者」をさがしている。 クリスタルを破壊したのは君なのか? |
(マーシュ、頷く) | |
マーシュ | 「3つのクリスタルをこわしたのはぼくです。 ファムフリート、アルテマ、アドラメレク。神獣たちもすべてぼくがたおしました。 |
シド | どうやら本当のようだな。 神獣たちの名は宮廷でも限られた者しか知らないハズだ。 |
マーシュ | クランのみんなはぼくを助けてくれてるだけなんです。 ぼくが元の世界へ帰れるようにって。 |
シド | 元の世界? |
バブズ | なんでも、この国はイヴァリースという田舎町が変化してできたものだとか。 この国自体がまぼろしでこの国も我々も存在しないと、そう言いはっているんです。 |
マーシュ | ウソじゃありません! それに、田舎町にすんでいたのはぼくだけじゃない。 ミュートも、それからミュートのパパ、あなただって・・・! |
バブズ | こいつっ! 無礼にもほどがあるぞっ! |
(シド、数歩進み、背を向ける) | |
シド | クリスタルの破壊はイヴァリースを滅ぼし世界に混乱をひきおこす。 しかし、きみにとっては破壊の意味がちがうようだ。 世界を元に戻す・・・か。 |
(マーシュの方へと向き直る) | |
シド | 他に方法はないのか? |
(マーシュ、うつむく) | |
マーシュ | ・・・わかりません。 |
シド | ならば、元の世界へ帰ることはあきらめるのだな。 クリスタルはこの世界のバランスを保つ力の結晶。 クリスタルの破壊はすなわち世界の崩壊を意味する。見すごすわけにはいかん。 |
マーシュ | ・・・・・・。 |
(シド、マーシュに歩み寄る) | |
シド | 今、きみが存在するこの場所をうけ入れればいいだけの話だ。むずかしいことではない。 元の世界のことなど時の流れとともに忘れてしまうだろう。 |
マーシュ | 元の世界を忘れる・・・。 |
(シド、うなずく) | |
シド | 情報によれば、きみのいるクランはなかなか実力があるというではないか。 力、仲間、地位、金。この世界でなら、すべてを手にすることができるのだ。 これ以上、きみはなにを望む? |
マーシュ | ・・・・・・。 |
シド | きみだけの問題ではない。ミュートの心痛も晴れる。それでよいではないか。 |
(マーシュ、うつむく) | |
マーシュ | ミュート・・・・・・。 |
(マーシュ、首を振る) | |
マーシュ | ちがう・・・!そんなのただの一時しのぎでしかないっ! ほんとうにミュートを思うなら世界を戻さなきゃダメだ! そうだよ。だってこの世界は・・・ |
(ひずみが現れる。) | |
シド | ひずみ!なぜこんな場所に!? |
バブズ | おまえが呼んだのかっ!? |
マーシュ | ぼくがひずみを呼ぶ!? |
(より大きなひずみがあらわれ、3人は飲み込まれる) (・・・クリスタルと神獣の間。 シドが神獣を見る) |
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シド | ・・・神獣の力が弱い。 クリスタルにばかり魔力が集中している。 これで神獣としての役割をはたせるのか? |
マーシュ | まるで樹木みたいな・・・これが神獣? アルテマのときとにてる。たぶん、この実をひとつずつつぶしていけば・・・! |
(マーシュ、神獣の本体に近づこうとする、シド、バブズはマーシュを見る) | |
シド | その実をつぶし、クリスタルを破壊するつもりか? |
(マーシュ、シドの方を向く) | |
シド | 今、ここにいるのはきみだけだ。助けてくれる仲間はいない。 こんな不利な状況でも戦おうというのだな。 きみはそれほどまでに自身の力を信じているのか? |
(マーシュ、うつむく) | |
マーシュ | ・・・自信なんてない。 いつも不安だよ。ちゃんとやれるんだろうかって。 でも、不安とかイヤなことを見ないフリしていたって、なにも進まないじゃないか。 この世界は大好きだよ。魔法は使えるし、クランの仕事も楽しい。 田舎町へ帰りたいって、ほんとうに思っているか、 ぼくにもわからないときがある。 |
(顔を上げる) | |
マーシュ | でも、ここはやっぱりホンモノじゃない。 ゲームの世界なんだ。 イヤなことがあったとき、少しの間、ホンモノの世界を忘れるためのところだ。 ずっといちゃいけない。 目をさまさなきゃダメなんだよ!! ぼくはクリスタルをこわす! 世界を元に戻すんだっ!! |
バブズ | おまえの思い通りになどさせるものか! |
(エンゲージ開始。『神獣エクセデス』) | |
バブズ | この世界が逃避のための場所だと? |
マーシュ | ミュートはイヤなことをすべて「なかったこと」にしてる。 ママが死んじゃったことも、いじめられてることも・・・。 |
バブズ | ならばなおのこと、おまえは世界を戻すべきではない! |
マーシュ | 逃げているとわかっていて、それでもきみはミュートを甘やかそうっていうの? |
バブズ | ちがうっ!戻すのなら王子がご自分の手でやるべきだと言っている! 王子が今のご自分をうれいていないと、なぜおまえに言い切れる!? 「現実」に向き合おうと苦心なさっているかもしれないではないかっ! |
マーシュ | ミュートが・・・? |
バブズ | おまえは自分のことしか考えていない。 結局、自分が元の世界へ帰りたいだけだろうっ! |
マーシュ | そんなっ! そんなこと・・・! |
(バブズが攻撃を開始する) | |
マーシュ | ジャッジマスター、ううん、ミュートのパパ! あなたは元の世界を覚えていないの? |
シド | ・・・・・・。 |
マーシュ | あの日、ぼくらは街でおじさんに会った。 おじさんはひどく酔ってて、それをミュートは悲しげに見てた。 |
シド | ・・・覚えはない。私はそんな世界などしらない。 私はイヴァリースのジャッジマスター、シドだ。 他の何者でもない! |
マーシュ | 田舎町のことをまったく忘れているなんて・・・。 これはミュートがやったこと? それともおじさん自身が望んでいるの・・・? |
(すべての実を破壊後) | |
バブズ | すべて破壊された? 私はあいつをとめられなかった! |
(クエスト「神獣エクセデス」クリア) (神獣の光が消え、暗転。現実のミュートとシドの幻が現れる) |
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シド | これは・・・? |
バブズ | シド様と・・・あれは、王子!? |
ミュート | パパ、ちゃんと歩けてないよ。 家までひとりで帰れる? |
シド | 酒はうまいぞ〜。 やなこと、みーんな、わすれっちまうぞ〜〜。 |
(シドの幻、消える。ミュート、3人の方を向く。うつむく) | |
ミュート | ・・・ママが死んじゃってからずっとああなんだ。 ・・・かっこ悪いよね。 |
(幻、消える。明るくなる。マーシュとバブズ、シドに向きなおる) | |
シド | あの酔っぱらいが・・・・・・ほんとうの私だと言うのか・・・? |
(神獣の間は白い光に包まれる。元の部屋に戻る) (背を向けているシド) |
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シド | ・・・ああ、そうだ。 そうだとも。あれはたしかに私だ。 彼女が死んでから、私はろくに仕事もせず酒ばかり飲んでいた・・・。 |
バブズ | 女王様が亡くなられた・・・? |
シド | ミュートは自分の父親がだらしなくなったことを信じたくなかったんだな。 だからジャッジマスターというこの世界でもっとも強い人物に父親をあてはめた。 いや・・・あるいは、私自身がそう願っていたのかもしれん。 |
バブズ | シド様・・・。 |
(シド、2人の方を向き、バブズを見る。) | |
シド | バブズ! 今より、ジャッジは宮廷より独立するぞ! |
バブズ | そんな! 宮廷をお出になるというのですか? 王子をおいて!? |
シド | 作り出されたニセの父親はそばにいるべきではない。 それがミュートにとって、いや、私自身にとっても一番よいと判断したのだ。 今からすぐ宮廷へ戻る。 |
(マーシュを見る) | |
シド | 不当に逮捕された者たちを釈放しよう。 それからきみも。 |
マーシュ | ぼくも・・・ですか? |
(バブズ、一歩前へ出る。) | |
バブズ | シド様っ!? |
(シド、背を向け、1,2歩歩き、また向きなおる) | |
シド | ミュートやこの国にとって彼が危険な人物かどうか、今の私には判断しかねる。 |
バブズ | ・・・・・・。 |
(シド、マーシュを見る) | |
シド | ここから解放されても、宮廷・・・ミュートはおそらくきみを追い続けるだろう。 だが、それはジャッジの関与するところではないということだ。 |
(シド、顔を伏せる) | |
シド | ジャッジは今この時より、完全なる法のしもべとなろう。 |
マーシュ | ありがとうございます。ジャッジマスター。 |
(シド、首を振る) | |
シド | 礼を言うのはこちらの方だ。きみが私の目を開いてくれた。 感謝している。 |
(シドとバブズが出て行く) (パブの客、青魔道士・ン・モゥ族幻術士・狩人の会話。) |
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青魔道士 | ジャッジマスターもどうしたんだかな。 |
幻術士 | ジャッジを宮廷から独立させるなんて。 |
(マーシュとパブの主人) | |
パブの主人 | 浮かない顔だな。クランにとってはいい話なんだろう? |
マーシュ | うん、いい話なんだけど・・・ |
(パブの客) | |
狩人 | ジャッジが宮廷から独立するって、つまりどういうことなんだ? |
幻術士 | ジャッジが中立の立場をとるってことさ。 今までは宮廷の影響力が強かっただろ? |
青魔道士 | よく宮廷は許したもんだよ。 |
幻術士 | 許すというより、勝手に出てったらしい。 |
狩人 | 女王はさぞご立腹だろうな。 |
青魔道士 | 女王よりも王子さ。かなり荒れたってウワサだぜ。 |
マーシュ | ミュート・・・・・・。 |
(暗転) (王宮。背を向けているミュートにシドが話しかける。かたわらにバブズ) |
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シド | ミュート、何かあったら呼んでくれ。 どこにいてもすぐにかけつける。 |
ミュート | ・・・・・・。 |
バブズ | シド様、ほんとうに宮廷をお出になられるのですか? 王子のおそばにいてあげてください! |
(ミュート、振り返ってバブズの方を向く) | |
ミュート | うるさいっ!パパが出ていくって言ったんだ。 勝手にすればいいんだよ! |
(シド、バブズを見る。) | |
シド | バブズ、おまえはいい子だ。ミュートのこと、頼んだぞ。 |
バブズ | シド様っ! |
ミュート | しつこいぞっ!ぼくにはパパなんていらない。 そんなダメなパパならいなくていい! |
(シド、ミュートと向き合う。無言。) (部屋を出て行こうとする。そこにレメディがレドナを伴い入ってくる。) |
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ミュート | ママ! |
レメディ | 行ってしまうのね? |
シド | はい。 |
(レドナを紹介するように立つ) | |
レメディ | これが例の子よ。あなたさえもしのぐ力の持ち主になったわ。 これからはこの子があなたのかわり。 |
(シド、出て行く。レメディとレドナはミュートの元へ。) | |
レメディ | ・・・ひどいパパね。ミュートのことをおいていってしまうなんて。 |
(ミュート、首を振る) | |
ミュート | いいんだ。ぼくにはママがいるもの。ママさえいてくれればいいよ。 お願いだから、ママはいなくならないでね。 |
レメディ | 大丈夫。ママはずーっと、ミュートのそばにいるわ。 |
バブズ | 女王様、その少年は・・・? |
(少し頭を動かし、バブズを見る) | |
レメディ | レドナというの。ミュートの新しい従者よ。 |
(レドナの方を向く) | |
レメディ | レドナ、この子がミュートよ。 ジャッジマスターにかわって、あなたがミュート王子を守ってあげてちょうだい。 |
(レドナ、一歩前へ出る。頭を下げて言う) | |
レドナ | レドナ・トェムです。王子にお仕えできることはまことに光栄です。 |
(ミュート、レメディに近づいて言う) | |
ミュート | ぼくのためにつれてきてくれたんだね? ありがとう、ママ! |
(ひとり、うつむくバブズ) | |
バブズ | シド様・・・。 |
(暗転) |